将来の夢があるって事自体が素敵よね
恐竜博士の息子の将来の夢は、古生物学者。
恐竜1体丸ごとの化石を見つけて、博物館に1億円で売り飛ばす野望を持つ男。
図鑑から、パズルから、ありとあらゆるものが恐竜で埋め尽くされている息子の部屋。
恐竜好きが知られているから、誕生日プレゼントも、クリスマスも、おみやげも、たいがい恐竜ものなので増える一方。だが博士的にはオールオッケー。
子供特有のスポンジの様な吸収力で、知識欲もガンガン満たしている様子。
おもちゃ売り場にある、恐竜のフィギュアを戦わせて遊んでいる他の子供を横目に「マミー、あの子たちは間違ってるよ。ジュラ紀の恐竜と、白亜紀の恐竜だから、同じの時代に存在しないんだよ」と吐き捨てる博士。
まあまあまあまあ。
ある日、娘と私でティラノサウルスがどれくらいの速さで走れるのか議論となり、私は時速60kmくらい、娘は時速50kmくらいと推察。
博士に質問すると、しばし考えたあと、「20kmくらいかな」と言う。
えー、遅くないそれ?
ジュラシックパークでめっちゃ早かったじゃん、ティラノ。
推察の根拠が映画ってのもどうかと思うが、真偽を確かめるべく、グーグルで検索すると時速50kmくらいとでた。
「イェーイ。恐竜のことではじめて勝った~!イェーイ」とはしゃぐ私と娘。
「うーん、でも確か最近の説でそんなに早く走れないってわかったはず」と博士は腑に落ちない様子でブツブツ言っている。
、、、、。
そんなに言うなら、と、検索結果を直近1年に限定してみる。
「最近の研究結果でティラノサウルスの時速は20kmくらいと推察されている、、」
やっぱ、博士が正解だった。
うって変わって娘の場合、夢は「歌って踊れて、演技もこなせる世界規模のエンターテイナー」
まじめにそう言っている。
何度聞いてもそう答える。
具体的なプランとしては、まずはとっととワールドツアーに出て、ひととおりツアーが終わったら帰国してウェイトレスになる、と。
ウ、ウエイトレス?! ワールドツアーの後にウエイトレス?!
「うん、やってみたいんだよね、ウェイトレス」と涼しい顔で娘が答える。
うーん、母さん思うに「逆」かなあ、順番が。
「なんで?」と不思議そうな娘。
えっとね、とりあえずスターになるにはオーディションとか受けるのよ。いきなり「私、ワールドツアーやります」「OK!」みたいな話じゃないからさ。
で、「普通は」だけどさ、オーディション受かるまで、生活してくお金を稼がなくちゃいけないわけ。そのためには手っ取り早くウェイトレスやって資金を稼ぐ、みたいな流れになるのよ。しょっちゅう募集してる仕事だからね。
「あー、じゃウェイトレス先でいいや」
、、、何だろう、なんか大事なことが伝わっていない気がする。
「ワールドツアーありき」なのは放っておいていいのだろうか。
そもそも歌のトレーニングも、演技のレッスンも何もやってないないのに、どうしてそんなに自信満々なんだよ
私が小さい頃なんて、別に取り立ててなりたいと思った職業もなければ、超現実的な子供だったからアイドルに憧れもしなかった。
ふざけてばっかりいたので、「吉本に入れば?」と、学年が変わるごとクラスメイトに言われていたが、そんな博打に出るほどの度胸もない。
そんな子供が、立派な社会人になるはずもなく、あっちふらふら、こっちふらふらの人生のままめでたく50歳。
まあ、子供達、夢持っているだけで良しとするか。
過度な期待はせずに、生暖かく見守っていこうと思う今日この頃。