頑固者の息子の場合、全身麻酔で一気に抜歯その数、5本
息子も歯列矯正の事前処置として、これから生えてくる永久歯をなるべく正しい位置に生えさせるように、先に乳歯を抜歯して、スペースを事前に確保する処置をする年齢になった。
うう。頭が痛い。
気が乗ればノリノリで協力するが、気が向かないと意地でも言うことを聞かない息子。
前の小学校の校長先生もお墨付きの頑固者。
どうしたもんか。
小児歯科の先生曰く、娘のように薬で眠らせるパターンもできるが、抵抗されると時間とお金の無駄になるリスクがある。
もう一つの方法は、全身麻酔で一気にやってしまうパターン。お金はもっとかかるし、なにせ全身麻酔、体に負担も多少なりともある。しかし、治療は一気に確実に終われる。
母は考える。
前回目の当たりにした、件の男の子を連れてきた両親の憔悴した顔が忘れられない。
今までいろんな検査で全身麻酔は経験済み、残すはお金の問題。お薬で眠らせる方法の倍かかるが、お薬の場合、2回で治療が完了できる確約はない。
「全身麻酔で」
母、決断。
当日は、麻酔科医と小児歯科医の先生が二人してタッグを組む。
「ゆったりした服できてください」とのことで、息子はパジャマのまま待合室でビデオを見ながらおとなしく待っている。
これから何が起こるとも知らずに、、、。
処置室に入ると、物々しい手術台に息子は寝かされ、「お母さん、手を握ってあげてください」と言われる。
さすがに若干、ビビっている様子の息子。
そりゃそうだ。
先生が「これから麻酔液を入れます」と小声で私に囁き、作業の様子が見えないように息子の視界をブロックするように促される。
視界の隅で、テレビでよく見る透明なバッグがぶら下がったチューブの先の小さな針を先生が息子の手の甲に刺したのが見てとれた。
途端に息子が、不思議そうな顔して、
「ん? マミー、僕の手どうなって、、」
言葉を終わらせることなく、意識を失った。
はやっ。
その後は、もう、母さんの出番なし。
とっとと処置室を追い出され、待合室に腰掛けたまま、本当に全身麻酔の選択でよかったのだろうかと逡巡しながら治療が終わるのを待つ。
1時間もしたろうか、先生が出てきて全部処置終わりましたと言う。
すべての歯のクリーニング、虫歯の治療1本、乳歯5本抜歯。
ひえー。
日本じゃ考えられない、猛スピード。
処置室から戻された息子を見ると口が流血だらけでひるむ母。
目が覚めると自分に何が起こったのかわからず半分パニックの息子。
ようやく落ち着かせるも、とっとと家に帰りたいと言うので、抱きかかえて車に戻り、出血の処理をしながら家路につくというなかなかの修羅場。
次の日にはケロリとして、硬いものが食べづらいと文句たれていた。
やっと終わったけど、数年後には、また、娘同様、今度は永久歯を確実に4本は抜かなくてはならないことが決定している。
薬でいくか、全身麻酔でまたいくのか。
私も子供の頃、矯正していて、昭和の日本の片田舎では注射針でブスブス麻酔、しかも、銀色ワイヤーしか選択肢なかったのに、今時の子は恵まれてるよなあ。
私は基本的におもちゃとかは買ってあげない(誕生日とクリスマスにお願いしろ、と言ってある)んだけど、なんつーか、よっぽどお金と手間がかかるっていうか。
でも、私自身の手間と時間の短縮、リスク回避っていう面も大きいから、過保護ともまた違うのかねえ。
*抜歯後の、息子によるウサギの前歯の芸。
(前歯の両脇に歯が生えきってないからできるワザ)
くだらねえ。