超有名ドラァグクイーン、カルロッタ姉さんはホントにカリスマだった
去年の夏、知り合いの母娘がバンクーバーに1週間ほど遊びに来た。
バンクーバーくんだりまで来るんだから、大学生の娘ちゃん、外国や英語に興味あるのかと思いきや、全然興味なくって、海外旅行も子供の頃の家族旅行以外ないらしい。
それでも、あちこち連れ回して、それなりに楽しんでくれてるようだったが、バンクーバーもたいして広くないので、後半戦は連れていくところが種切れしてきた。
そんな時ふと、「あ、、、カルロッタ姉さん?」と思いつく。
ダメもとで、恐る恐る二人に打診してみる。
「えーっとさ、ドラァグショーって知ってる? 私の知り合いの知り合いが、土曜日の夜にダウンタウンでショーやってるんだけど、、、行って見る?」
「、、、ちょっと怖いけど行く! お父さんにはナイショね!」
「了解!」
ショー自体は午後10時半にはじまるのだけど、いい席で見たいのでTちゃん(カルロッタ姉さんの友達)に、何時頃に行けばいい席取れる?とメッセージを送ったところ、「9時半ごろでいいんじゃない? 私そんなに早く行ったことないけど(笑)」と。
さすが遊び人。
飲み屋さんでは年齢確認される事もあるから、念のためにパスポート持っていってもらってたけど、特に確認もされず、チャージ代10ドルを払って店内へ。
取り立てて、ショー用の席があるわけじゃないので、最前列、ど真ん中のテーブルを確保しビールを飲み始める。
ついでにショーのレクチャーを二人にしておく。
前の方の席だから、立ち上がったりして後ろの人の視界を遮らないように、とか、チップの渡し方とか。
カナダでは5ドル札(カナダで最少額の札)を用意しておいて、ショーの最中、適当なタイミングでステージに近寄って握ったお札をヒラヒラすれば、舞台から姉さんが近づいてきてくれるので直接手渡す。
ちなみにドラァグクイーンショーフリークのマーさんによると、アメリカで一番小さい額の札は1ドルなので、たくさんチップもらった風に見えても、実は大した額にならない事が多いらしい。
だから最低でも5ドルスタートのカナダでのショーはドラァグクイーンに人気なんだとか。
一応、母娘にも5ドル札を渡しておいた。
まあ、外国で初のドラァグショーでのチップは、ちょっとハードル高いだろうけど、まあ念のため。
そうこうするうちに、ショーが始まる。
何人かのドラァグクイーンが舞台に上がっては、はけていく。
もちろんMCは私の敬愛するカルロッタ姉さん
下ネタも多いんだけど、基本的にお客を巻き込んでのトークがうまい。
特別、観光スポットでもないから、英語もネイティブのスピードでどんどん進んでいく。が、基本、野太い声でシャキシャキ喋るから、聞きやすい。
リスニングの勉強になるね。
普段使える英会話かといえば、ちょっと違うけど、、、。
英語大丈夫かな?
飽きちゃってないかな?
と、母娘を見ると、薄暗い中でも、ステージを食い入るように見ている。
あ、なんか大丈夫そう。
しばらくすると、おもむろにお母さんの方が立ち上がり、カルロッタ姉さんにチップを渡した。
内心、「おおおお、ついに!」と拍手を送っていると、次に、なんとあの娘ちゃんまで立ち上がった!
しかーも、カルロッタ姉さんったら、5ドル札を娘ちゃんから受け取ると、おもむろに手の甲を娘ちゃんに差し出す。
「!!」
すると、なんと動じる事なく件の娘ちゃんは、差し出された姉さんの手の甲にキス!
「!!!」
キスをもらうと、何事もなかったのように、ステージの中央に戻ってショーを続けるカルロッタ姉さん。
おいおいおいおいおい!
今、何がおこった?
姉さんがお客に絡む時は、マッチョな男子とそっち系の話したり、若い女子をおもしろおかしくディスったり、が多いから、一言も喋らずのこの感じの絡みはだいぶ珍しい。
ショーが終わり、動揺を隠せないまま店の外にでる。
「楽しかった〜!」と母娘。
よ、よかったよ、喜んでもらえたみたいで。
後日、お母さんから連絡があって、どうにもこうにも英語に興味なかった娘ちゃんが、
「カルロッタ姉さんのトーク理解できるように、英語勉強する!!!」
と、一念発起してるらしい、、。
どんなとこに、英語のモチベーションが転がってるかわかんないね、ってな話。
というか、あのタイミングで、あの娘ちゃんにキスをさせる、、、やっぱカリスマだなあ、カルロッタ姉さん。
*去年のハロウィンでのショー。写ってるのは全員一般のお客さん、、、。